

最初にこの記事を書こうと決めたのは、お母さんから言われたある一言がきっかけでした。
「うちの子、運動神経が悪くて…」
体験レッスンに来てくれた、小学生のサッカー少年の話です。お母さんはそう言いながら、少し申し訳なさそうに笑っていました。当の本人は、隣でうつむいて、自分の靴のつま先を見つめていました。
その姿を見て、僕は心の中で思いました。「いや、運動神経が悪いんじゃない。誰もまだ、本当の原因を見つけてあげていないだけだ」 と。
親も、子ども本人も、知らないうちに信じ込まされている “敵”
ここで一つ、いきなり踏み込んだことを言わせてください。
子どもが運動を諦めるとき、その隣には必ず “ある敵” がいます。
その敵の名前は 「運動神経は生まれつきだ」 という思い込みです。
「あの子は才能があるから」 「うちの子は、私に似て運動神経が悪いから」 「兄はできたけど、この子は無理かもしれない」
―― これらの言葉、どれも親の愛情から出ています。それは分かるんです。「だから無理しなくていいよ」と、ハードルを下げて子どもを守ろうとしている。
でも、現場で何百人もの子どもを見てきて、僕は断言できます。
この “生まれつき” という言葉は、子どもの可能性に蓋をする、一番静かで一番強い敵です。
そしてこの敵は、テレビでも、学校でも、親戚の集まりでも、いろんな場所からじわじわと子どもの頭に染み込んでいきます。気がつくと、子ども本人が一番大きな声でこう言うようになります。「だって僕、運動神経悪いもん」と。
冒頭のサッカー少年も、まさにそうでした。
最初に見えたのは、「リズムのずれ」だった
体験レッスンで、その子に簡単な動きをやってもらいました。リズムに合わせて、上半身と下半身を同時に動かす ―― リズスポの基本のステップの一つです。
そこで僕は、すぐに気づきました。
この子、足は動かせるのに、上半身がそれに追いついていない。
下半身は曲がりなりにもリズムを取ろうとしているのに、上半身がワンテンポ遅れる。手の振りも、肩の入れ方も、全部少しずつズレている。
サッカーで言えば、ボールに向かって走り出すとき、本来なら全身が同時にスタートを切るところを、この子は 足だけが先に動いて、上半身がついていっていない 状態でした。だから一歩目が遅れる。だから抜かれる。だから「鈍い」と見える。
お母さんが気にしていた「他の子に比べて上半身の使い方が上手くない」 ―― 親の目は正確でした。でもそれは「運動神経」の問題ではなく、身体の使い方 の問題だったんです。
「運動神経が悪い」のではなく、「身体の使い方がうまくないだけ」
ここが、僕がこの仕事をしていて、心の底から伝えたい一行です。
運動神経が悪いんじゃない。身体の使い方を、まだ覚えていないだけ。
そして、身体の使い方は 教えれば身につきます。 才能の話ではありません。技術の話です。技術なら、後から学べます。
例えるなら、自転車に乗れるかどうかと同じです。最初は誰だって乗れません。何度かこけて、補助輪が外れて、ある日突然乗れるようになる。「自転車の才能がなかった」と言う人はいませんよね。運動も、本来それと同じ性質のもの だと僕は思っています。
ただ、自転車と違って、運動の “コツ” は地味で、目に見えづらい。だから誰かが横で「ここをこう動かしてごらん」と言ってあげないと、自己流ではなかなか辿り着けない。それだけのことなんです。
2ヶ月、何をやったか
ではそのサッカー少年に、リズスポで何をやらせたか。
ドリブルでも、シュートでもありません。サッカーの練習は、一切していません。やったのは、リズムに合わせて、上半身と下半身を同時に動かすステップ。 これだけです。
最初の数回、その子は本当にぎこちなかった。手と足がバラバラで、リズムから遅れて、ときには止まってしまう。「先生、これ難しい」と何度も言いました。
でも僕は、毎回こう声をかけ続けました。
「大丈夫、これ、絶対できるようになるから。今までできなかったことも、何度も “できる” って教えてあげれば、ちゃんと身体は覚えるから」
達成感を積み重ねる ―― これが、運動神経というあやふやな概念を解体するための、一番確かなアプローチだと、僕は経験から知っています。「できた!」が一つ増えるたびに、子どもの中で「僕は運動神経が悪い」という呪文が一つずつ薄れていく。
そして、その子に一番のテーマとして意識させたのは 「脱力」 でした。
力みっぱなしの身体は、リズムに乗れません。要所で力を抜けるからこそ、要所で力を入れられる。これは僕自身が競技をやってきて、何度も思い知らされたことです。一流のアスリートほど、普段はびっくりするくらい脱力しています。
2ヶ月後 ―― お母さんから届いた一言
[🎬 動画挿入: 上達後のAfter動画 / 本人やお母様のインタビュー動画] 推奨:ここが記事の中で一番効くポジション。Before/Afterの比較ができる動画があれば最強。もしくは、本人やお母様が「変わった」と語っているインタビュー動画。文章の「抜かれにくくなった」を、動画で証明することで、記事全体の信頼性が一気に上がる。
レッスンを始めて2〜3ヶ月。
ある日、お母さんがレッスン後にこう言ってくれました。
「先生、最近、試合で抜かれにくくなったって本人が言ってます。あと、走るのも速くなったみたいで」
体幹が安定して、身体全体の使い方が変わったんです。リズスポで身についた “上半身と下半身を同時に操る感覚” が、サッカーのピッチの上でちゃんと出てきていた。
そしてその子は、レッスンの帰り際に、ぽつりと言いました。
「どこに力を入れれば、どう動けるか、なんとなく分かってきた」
僕はこの言葉を聞いたとき、本当に嬉しかった。なぜなら、これは 才能が開花した瞬間ではなく、”身体の使い方” を覚えた瞬間 だからです。つまり、誰の子にだって起こりうる変化。そして、起こしてあげるべき変化です。
「生まれつき」という敵に、もう負けないでください

最後に、もう一度言わせてください。
お子さんが「運動神経が悪い」のではありません。まだ、身体の使い方を教わっていないだけです。
そして “生まれつきだから仕方ない” という思い込みは、本当に手強い敵です。学校でも、家でも、テレビでも、その言葉はいつの間にか子どもに染み込んでいきます。気づけば、お子さん本人が一番、自分のことを「運動神経悪い人間」だと思い込んでしまう。
でも ―― この敵は、外から壊せます。
「できなかったことが、できるようになる」 ―― この体験を、誰かが横で一つずつ用意してあげれば、敵は驚くほどあっさり消えていきます。冒頭のサッカー少年がそうでした。彼に必要だったのは、根性でも才能でもなく、正しい身体の使い方を教えてくれる誰か だけでした。
リズスポは、サッカー教室ではありません。ドリブルもシュートも教えません。僕たちが教えるのは、すべての運動の土台になる “身体の使い方” です。だから、サッカーの子も、バスケの子も、何の競技もしていない子も、同じスタートラインに立てます。
もし今、お子さんが「自分は運動が苦手」と言っているなら ―― そして、その隣で親御さんも「うちの子は仕方ない」と諦めかけているなら ――
どうか、その敵に勝ちにきてください。一緒に戦いましょう。
体験レッスンで、お子さんの「あれ、できた」という瞬間に、ぜひ立ち会ってあげてください。その一回の “できた” が、何年も染みついた “運動神経が悪い” という呪文を、僕は何度もほどいてきました。
リズスポ 経堂店 / 勝山悠介 リズスポ立ち上げメンバー。サッカー・各種競技をしている子どもたちのパーソナルレッスンを担当。